Fuels
Main Gasoline Diesel GTL

GTL(Gas to Liquid)

 ガソリンや軽油は、原油を原料として分留・改質等して製造されるのに対し、GTLはその言葉通りガス(天然ガス、メタン等の可燃性の炭化水素ガスの総称)を原料に液体(沸点が高い炭化水素)にする技術で製造されます。ロイヤル・ダッチ・シェルが世界に先駆けて実用化し、シンガポールの精油所で製造が始まっています。この技術を用いると、エンジンが要求する燃料の特性に合った液体燃料を造れるばかりか、一切硫黄等の不純物を含みません。この為、自動車用燃料ばかりでなく、家庭用燃料に使用すれば石油ストーブ等では嫌な臭いをまったくといって良い程出なくなります。
車両用においては、硫黄やワックス分を含まない為、燃焼し易く同時に硫酸・亜硫酸の生成は無いので、排気ガス後処理を使用しても劣化が殆ど無くより効率の良いものが使用できるようになります。
この為、ドイツでは有望な軽油の代替燃料として試験が行われています。日本でも、コスモ石油さんが非常に効率よくGTLを製造できる触媒技術を開発し、石油各社と合同で北海道に試験プラントを作り現在実用化に向けて試験を行っています。 一昨年には、臭わない灯油と言う売り込みで、昭和シェル石油(株)がシンガポールから試験輸入し東京地区で試験販売しています。(現在は行っていません)
 良い事尽くめに見えるGTLですが、いまの技術では、直接造れるGTLは石油原油に近く原油と同じように精製しないと目的に合った製品ができない為、余計な工程が加わる分製造コストが石油から作られる製品と比較し未だかなり高い事、ディーゼル燃料に使用した場合、まったく潤滑性が無い為、潤滑性向上剤を現行の低硫黄軽油と比較しかなり添加しなくてはならない点、また、潤滑性を十分確保できる添加剤は、多分国内で生産されている脂肪酸に特殊防錆潤滑補助剤と特殊防錆剤を組み合わせた製品以外噴射ポンプの材質や構造を大幅に変えない限り難しいものと思われます。
 しかし、天然ガスの埋蔵量は石油より多く、非常に重要で注目していきたい代替燃料の候補です。
総合的には、大きな可能性を秘めていますが、現段階では、車両用エンジン向けにはガソリン製造には向くようですが、ジメチル・エーテル(DME)と比べるとコスト面で軽油の代替には向かないと言えそうです。

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